長い目で経営考えて
最近、一般の方に向けた民泊事業参入の広告や営業を沖縄でもよく目にする。土地活用や空き家対策の一環として、または投資対象として、不動産、建築、民泊代行業者など、さまざまな業界から民泊事業への誘いの声が聞こえてくる。
情報の読み方というのはとても大事だ。例えば、インターネットで「沖縄 民泊投資」と検索してみる。沖縄での民泊経営がいかにもうかるかというコンテンツがずらりと並ぶ。ほとんどが民泊事業に関する必要情報をまとめた中立的なサイトに見えるが、最後には民泊投資に関係する業者へと誘導されていることが少なくない。
一方、「民泊 廃業」で検索してみるとどうか?新聞記事や公共のデータに基づく内容が上位に並ぶ。法律が変わったことや競合が増えたことによる厳しい現実も見えてくる。新聞や公共のデータが常に100%正しいとは限らないが、情報を客観的に分析する材料になることは間違いない。
もちろん広告の中にも有用なものもあるが、それが自分にとって有用なものかそうでないのか、分析・判断が重要である。
例えば、インターネットで2018年に公開されていたある沖縄民泊の“ある月の”収支例では稼働率が約76%。観光庁公開の(民泊を含む)簡易宿所の客室稼働率は年平均28.8%。この数字をあなたならどう読み解くだろうか?
さて、ある地主さんが、社員寮を建てないかと提案を受けている。1ルームを数十戸。社員寮として1棟丸々貸し出せる契約になるのでリスクは低いように見える。一方で、万が一予定よりも早く契約解除となってしまったたらどうなるか?全てが1ルームだとそこから一般賃貸物件として経営していくにはリスクが高いかもしれない。そこで一部は家族向けに転用がきくような造りにしておく。このように、目の前の話がいかに良い話であっても、マーケット分析によって長い目で経営を考えたり、リスクを分散させたりする視点は持っておきたい。
不動産投資はどれも個別のもの。立地も含めてマーケット分析・将来予測をしっかりと行い、自己資金のバランスや相続のことまで考えて確かな計画を立てるべきである。
思えば、相続税の法律が変わった前後には相続税対策でのアパート経営がブームになった。その次は民泊経営ブーム。建築業界や不動産業界にとっては建てたり管理したりがビジネスなのであって、○○経営、○○投資の、○○の部分はあまり関係ないのかもしれない。