負の資産 整理し次代へ
8月に入ると旧盆の話題も多くなる。この時期になると親戚がたくさん集まって楽しく過ごしたあの頃のことを思い出す。
読者の皆さんも、里帰りなどで久しぶりに会う親戚もいるだろう。懐かしい話に花が咲くかもしれない。家族親戚が集まる貴重な機会に、財産の引き継ぎ方についてもぜひ考えてみてもらいたい。
当コラムではこれまで不動産投資や資産運用について解説してきたが、そうして増やした財産も次の世代へ引き継ぐ準備ができていないと相続で減らしてしまうことになる。
先祖代々守ってきた財産、自分たちの世代で一生懸命増やした財産。それらの貴重な財産を相続で減らしたり失ったりしてしまう原因のほとんどが、分け方でもめてしまうことにある。
人生100年時代を生きる世代には、老後資金問題や自分たちの介護の問題など何かと心配事が多い。良い財産を少しでも多くもらって不安や心配から解放されたいというのは当然の心理であり、それぞれが同じことを考えるから分け方でもめてしまう。
財産の中でも不動産の比率が大きな家庭はもめ事が大きくなる傾向が強い。不動産は現金と違い分け方が難しく、それぞれの正しい価値を見極めるのも素人には容易ではない上に、相続税を払うための現金が用意できていないことも多い。不動産は相続時にさまざまな問題を引きお起こす可能性があるので、できるだけ早く対策を講じておいていただきたい。
そこで重要なのが財産の棚卸しである。まず、全ての財産を価値や目的で四つに分類する。具体的に言うと、財産の将来性、収益性、流動性を分析し、これから先も守る財産、資本改善する財産、収益改善する財産、整理・組み換えする財産の四つに分ける。そうすることで的確な対策を講じることができる。
例えば財産が10個あるとする。一つ一つの財産の将来性、収益性、流動性を基に点数付けすると、3~4個は点数の悪い財産が見つかる。分かりやすいイメージで言うと、人口減少エリア(将来性)、収益が悪い(収益性)、現金に換えるのに時間がかかる(流動性)=借地や築古賃貸、崖地や池地などの財産だ。
そういった負の財産をきちんと見つけ出すことができれば、それらを整理してより良い財産に組み換え、次世代の不安を取り除くことができる。ただし、良い財産が増えればもめないかというとそうとも言えない。次回のコラムではもめない分け方のポイントを解説する。