海外移住も選択肢に
老後資金2千万円問題について、これまでとは少し違った視点から考えてみたい。今回のコラムは視察で訪問中のフィリピンからお届けする。
老後資金2千万円の試算はあくまで日本国内での生活を前提としているが、仮に海外移住となればどうだろうか?国によっては生活費を低く抑えることができるため、試算の前提となっている支出の部分を大きく見直す事ができる。
対象になりそうな海外の国を考えると、真っ先に東南アジア諸国が思い浮かぶ。特に沖縄は東南アジア諸国とは立地的にも近い関係にあり、直行便で2、3時間以内で行けるような国は選択肢としやすいだろう。
中でも魅力的な国の一つとしてフィリピンがある。フィリピンは今のところ台北乗り継ぎで約4時間くらいだが、直行便が飛ぶようになれば2時間弱で行けると言われている。
フィリピンは片言の英語でもコミュニケーションが取れるということも移住のハードルを下げてくれる。タガログ語という言語があるが、国民の9割が英語を話すことができる。また、宗教的にもカトリックが主流なので日本人にも馴染みやすい生活や分化のスタイルだと言える。
実際にフィリピンで過ごしてみるとフィリピンの人々は総じて陽気で明るく、人懐っこいと感じる。場所や年齢、生活レベルに関係なくどこに行ってもたくさんの笑顔と出会うことができる。フィリピン人自身もそのホスピタリティーを誇りとしているようだ。
さて、肝心の生活費だが、例えば夫婦で比較的日本人でも生活しやすいエリアに住むとして、30平方メートル(1LDK)、セキュリティー付きで家賃が月3万~5万円程度。ある程度自炊して生活するとして生活費は2人で2万円程度という。少しグレードの高い賃貸物件を借りて生活したとしても、7万円程度で生活ができることになる。
日本では老後のゆとりのある生活には月に約35万円程度の生活費が必要と言われているので、年金だけでは不安を感じてしまう方も多いだろう。基本的な支出額を抑えながらもゆとりのある生活ができる東南アジア圏に目を向けてみるのも、悪くない選択肢の一つと言える。興味があれば現役のうちに訪問して実態を肌で感じると良いだろう。
また、海外で老後を暮らす際には、日本で所有している住宅を貸して賃貸収入を得ることもできるので、さらに充実した生活ができる可能性がある。アジアの中心である沖縄の立地性を生かした老後資金問題の一つの解決策として、検討してはどうだろうか。