資産価値 変化分析を
相続が起きると、もめごとを避けるために不動産を共有名義にして分けるということがある。今回は、共有不動産の注意点についてお伝えする。
まずは民間地の場合。不動産価値の二極化が今後ますます進んでいくということに目を向けよう。
共有名義で所有する不動産の価値が今後、上がるのか下がるのかを分析する必要がある。分析のポイントは外的要因である人口動向。人口も減少、単身化や高齢化も進むような場所に保有している不動産は間違えなく価値が下がっていく。前回お伝えしたファイナンス(銀行)の引き締めが加わるとさらに価値の下落は加速する。結果として価格を下げても取引されにくい不動産になっていく。
将来予測によって所有する不動産が不良財産だと分かったとしても、共有名義だと対策に時間がかかってしまう。ただでさえ時間がかかる不良財産の売却であるのに、共有名義人の全員の同意を取り付け、書類を整え、そうこうしているうちに大きな経済的ロスを引き起こしてしまう。このような場合、いざとなってからでは遅いので、早めに共有者全員で相談して二極化の大きな波が来る前に資産組替を検討した方がよいだろう。
次に、最近相談も増えている軍用地の場合。大きなポイントとしては変換の予定があるかどうか。返還予定地ではない場合はそのまま保有していても問題ないことが多い。
しかし、相続を受けた軍用地が返還予定地である場合は注意が必要だ。特に、共有名義で分けた結果持ち分が小さくなって200平方メートル以下になっているケース。道路や公共施設などの用地として所有する土地も無償提供によって減らされていくこと(減歩)を知っておこう。
例えば減歩率が40%だと200平方メートルあった土地も120平方メートルに減らされてしまう。坪数にして約36坪。この小ささでは返還後に民有地として活用しようとしてもそれまで以上の収益は見込みにくい。ケースによってはより収益を上げる方法もないではないが容易ではない。
保有し続けるべきか、早めに相続組替をするべきか、現状の地代と返還後の活用方法とを比較して考えよう。土地が小さすぎて活用度合が低ければ資産組替も検討した方がよいだろう。
基本的な考えとしては、現状より資産価値が上がるかどうかを分析すること。分析や対策を怠れば当然の事態として資産を減らしていくことを覚悟しなければならないのである。