老後資金 準備可能に
今回からは不良資産を優良資産に変えるというお話し。
代々守ってきた財産の中に潜む不良資産。子や孫の世代にそのまま引き継いで負担とさせることなく早めに見つけ出し、優良資産に組み替えてから引き継いでいく方法の一部を前回お伝えした。
今回は、不良資産を見つけ出した後、子どもたちに先に財産移転を進めて、子どもたちが優良資産へ組み替えて資産運用していく方法をお伝えする。
登場人物として祖父、父(子)、孫の関係で説明する。
不良資産を見つけ出すことがまず第一歩。流動性や収益性が悪く、相続税評価が高いような財産だ。借地や築古アパートなどで考えるとイメージしやすい。
見つけ出した不良資産を整理して現金化した後、教育資金として祖父から孫に贈与する。教育資金贈与の非課税制度を利用することで、最大1500万円が非課税となる。
元々父が負担する予定だった教育資金の負担がなくなることで、その浮いた資金を資産運用することで、父自身の老後資金などを早い段階から準備することができる。
例えば学校へ支払う学費、学習塾費、習い事など毎月4万円ほどかかっていた教育費が、祖父からの教育資金贈与を受けることで父の負担がなくなったとする。その浮いた分、毎月4万円を20年間4%で積み立て運用したら約1467万円になり、単純に貯金した場合の960万円よりも、507万円多く増やすことができる。
これからの父世代が生きる人生100年時代は、祖父世代の人生設計が通用しなくなる。これまでの常識のままでは老後の不安を解消することは困難であるが、このように上手に資産を運用することで人生100年に備えることも可能になる。
教育資金贈与をすることで祖父の資産(現金)が減り相続税の節税にもつながることもメリットだ。
また、不良資産を見つけ出して優良資産へ組み替えることは、結果として相続でもめさせないことにもなるので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。
なお、本稿で紹介した教育資金贈与は、孫が30歳までに使いきれなかった場合は贈与税がかかってしまうので注意していただきたい。孫が小さい時に行う方がメリットが大きくなる。小さな子どもがいる親世代はすぐにでも検討してみてはどうだろうか。