資産組み替え検討を
今回からは不良資産を優良資産に変えるというお話し。
資産運用を考える際に、常に両輪で考えておかなければならないのが相続の問題である。代々守ってきた大切な財産を子や孫に確実に引き継いでいくためには、いかにして不良資産を減らしていくかを考えることが、相続税を気にするよりもはるかに重要だ。実は、不良資産を守るために優良資産を食いつぶすような本末転倒な事例が世の中にはあふれているのである。
代々守ってきた財産の中にある「不良資産」とは何か? 分かりやすく言えば子供たちがもらいたくない財産である。条件を挙げるなら、収益性が悪い、流動性が悪い、相続税評価が高い資産ということになる。
もっとも分かりやすい例は、代々貸し続けてきた貸地。年間の地代から固定資産税を差し引くとほとんど手残りがなく(収益性が悪い)、旧借地権で土地を貸しているため買い手が付きづらい(流動性が悪い)。そのようなことから市場評価は低いわりには相続税評価が高く持ち続けていても割に合わない(相続税評価が実情に見合わず高い)。
貸地以外にもイメージしやすいのは築古アパートなど。とにかく収益性・流動性が悪く、相続税評価が高いような不良資産には気をつけていただきたい。人口減少や少子高齢化など、マーケットも悪化するような地域にある場合はさらに注意が必要だ。優良資産が生み出す収益で不良資産を守っていくことになり、そのまま相続を迎えれば子供たちへ負担を引き継いでいくことになってしまう。
そうならないためにも、早い段階で不良資産を見つけ出し、整理して組み替えておくことをお勧めする。資産を組み替える際の目安としては、組み替え前の資産の収益から経費を引いた手残り額の2倍増程度を目標として、組み替え先を検討してみてはどうか。
例えば旧借地権で貸していて、手残り収入が50万円、相続税評価5千円の土地があったとする。売却するだけでも相続税の圧縮になることに加え、売却して入ってきた現金2500万円を利回り4%の金融商品に組み替えれば、年収の収益は100万円になり、組み替え前の2倍という図式となる。
この収益を配当で毎年受け取るにせよ、福利運用で再投資していくにせよ、不良資産が優良資産に変わり、次世代の子供たちへ負担をなくして資産承継していくことができる。
次回以降、資産組み替えの具体的な方法論についてもお伝えしていく。